ソフトウェア工学
ソフトウェア工学
授業目標
- 前半はゲーム開発の歴史や開発費などを紹介し,ソフトウェア開発方法の工夫がなぜ必要なのかを理解しながら,典型的なソフトウェア開発の手法を紹介
授業の流れ
- テレビゲームの開発体制
- 一般的な開発体制を図示.基本的には一般的なソフトウェア開発と共通する部分も多い
- ゲーム開発特有の特徴として,シナリオライターや作曲家など,ソフトウェア開発技術者とは別の主要スタッフが存在
- 大規模なゲーム開発体制の例
- ファイナルファンタジーXIII ... グラフィックデザイナ・ムービーデザイナの数が非常に多い
- 対照例:1980年代のゲーム開発体制
- 一人で複数の役割を担う
- 少人数・属人的な開発体制
- ゲーム開発のリスク
- 平均で億単位の開発費がかかる(大半は人件費)
- 開発に数年を要することもある
- そこまでかけてもし売れなかったら・・・?
- あくまで売れるかどうかはアイデア次第.労力をかけたから売れるとは限らない
- ミニテスト:ゲームの開発費を想像してみよう
- 歴代開発費トップクラスのゲーム(Red Dead Redemption)の映像を見て,その開発費を予想してみる
- ゲーム開発費トップ10
- 2010年度版: 日々是遊戯:歴代もっとも開発費が高かったゲームTOP10、果たして1位は……?
- 開発費を公開しない会社も多いので,あくまで参考程度で
- トップ10に入ってる中には,およそ開発費を回収できてないものもいくつか存在
- 別データ(Wikipedia)
- トップ10が全てが1億ドル以上
- 開発コストよりも宣伝コストが高い例も
- 2010年度版: 日々是遊戯:歴代もっとも開発費が高かったゲームTOP10、果たして1位は……?
- 開発費 != ゲームの売上
- 10人未満スタッフ+3ヶ月程度の開発期間で
- 利益を出すゲーム開発とは?
- 面白いゲームを売ってヒットさせる・・・ができれば苦労はしない
- 優秀なプロジェクターやディレクターを確保・育成する
- どこまでいっても属人的
- 技術的な工夫で解決できることも多いのではないか?→ソフトウェア工学の起こり
- 開発手法の工夫,開発労力の削減,運用テストの効率化...
- 開発モデル
- ミニテスト:開発フェーズに入る用語を考えてみる
- ウォーターフォールモデル
- ゲーム開発にはウォーターフォールモデルは合わない
・実際にプレイしてみないと分からないことが多い
・プレイ結果を見て仕様変更,が頻繁に起こりやすい
- ゲーム開発にはウォーターフォールモデルは合わない
- プロトタイプモデル
- スパイラルモデル
- アジャイル
(以下追加中)
使用題材
ファイナルファンタジーXIII
- Final Fantasy 13のスタッフロールの人数を数えてみた (ゲームの花園(Aqu))
- エンディングのスタッフロールからスタッフの人数を目視確認
- プロデューサーやディレクターだけでかなりの人数
- グラフィックデザイナ・ムービーデザイナがそれぞれ100人以上(メインプログラマより遙かに多い)
- グラフィックに相当な力を入れているゲームならではの特徴
参考: http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080225/gdc_cry.htm研究開発部が出した結論は、「『ファイナルファンタジー』シリーズは、キャラクタに非常に比重が置かれたゲーム」。村田氏は「とにかく“魅せることありき”であり、どのようなキャラクタが、どのような世界観の中で、どのような活躍をするのかみたいなところからゲーム作りが始まるところがあり、ひょっとすると皆さんから見ると特異に写るかも知れない」と自社タイトルの特徴を冷静に分析した。
- グラフィックに相当な力を入れているゲームならではの特徴
ゼルダの伝説
- スタッフロールを見る限り,スタッフは6人だけ
- プログラマー3人,ディレクターがプロデューサやデザイナーを兼任,サウンドプログラマが作曲担当
- 実はスーパーマリオブラザーズの開発スタッフと同じで,しかも同時並行で開発していた
参考 http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/smnj/vol2/index3.html"このことは、世の中のゲームファンの方は 意外とご存じないことなんですけど、 実は最初の『スーパーマリオ』と『ゼルダ』は 同じスタッフで同時に並行してつくられていたんです。 今ではとても信じられないことですが(笑)。"
MOTHER3 (2006: 任天堂)
- 開発に6年かけながらも一度頓挫.その3年後に開発再開,さらに3年後ようやく発売にこぎつける.
- 参考:
『MOTHER 3』の開発が中止になったことについての糸井重里・岩田聡・宮本茂の座談会 (開発中止当時)
『MOTHER3』の気持ち。 - 糸井重里、インタビュー (発売時掲載,開発再開から発売までの経緯)
- 参考:
Red Dead Redemption (2010: Rockstar Games)
- 1億ドル以上という莫大な開発費をかけたとして当時話題に(関連記事)
- 結局世界で1400万本以上を売り上げ,開発費は十分回収できたと言われている
シェンムー 一章 横須賀 (セガ:1999)
- 開発費70億は,10年後のランキングでもトップ10に入るほど破格
- 開発期間6年,開発人数300-400人
- しまいにはCMで開発費70億を大々的に宣伝する戦略に・・・
- 売上:120万本
- 定価6800円なので,定価通り売ったとしても82億.
脳を鍛える大人のDSトレーニング(任天堂:2005)
- 開発人数10人未満,開発期間3ヶ月
- おそらく開発費は高々3-4千万
- 売上:国内400万本,世界で2000万本
- 続編も国内500万本,世界で1500万本
- "こんなこともあろうかと"的に開発していたミドルウェア群(手書き文字認識&音声認識)が,開発期間短縮に貢献
パズル&ドラゴンズ (ガンホー:2012)
- 大成功した会社の社長が「ヒットの方程式は,ない」と断言した講演が話題に