ユーザインタフェース
教材
入力機器の歴史の変遷という形で,ゲームの世界におけるユーザインタフェースを概観する.
ビット列のイメージを理解した上で入力機器を見ると,近年増えてきた「アナログ入力」もコンピュータ上ではデジタルに変換しないといけない.
- コントローラの歴史
- レバー主体
- ボタン入力へ
- 十字キー
- 多ボタン化
- "アナログ"入力
- 傾き検出
- 圧力検知
- ペン入力
- モーション検出
- 出力装置にも
- 振動機能
- スピーカ
- 映像受信
- ゲームの入力装置に必要となる要素は?
- 即応性
- 耐久性
- 長時間にわたる圧力操作に耐える
- 難しい要素(最適解が一つではない)
- 直感的な操作
- レバーとボタン,どちらが操作しやすいか?
- 汎用性
- 直感的な操作
使用素材
ATARI 2600
Spacewar!
- コントローラ画像 (Wikipedia) ( http://www.vintage.org/gallery.php?grouptag=PDP1REPLICA Vintage Computer Festival - PDP-1 Replica)
- トグルスイッチx2(左右旋回,加速,ワープ),ボタンx1(ミサイル発射)
- 元々PDP-1本体にあったスイッチとボタンを取り出して作ったもの
ODYSSEY
- コントローラ画像
- つまみx3(Horizontal, Vertical, English),ボタンx1
- 左右と上下の移動が別
操作しにくそうだが,実はこれアメリカでメジャーなある玩具と同じ ( Etch A Sketch http://www.ohioart.com/brands/etch-sketch )
ATARI 2600
- コントローラ画像 (Wikipedia)
- レバーは4方向,ボタンx1(左上)
ODYSSEY2 (1978, Magnavox)
- 本体画像 (Wikipedia)
- レバーが8方向,ボタンx1(左上)
カセットビジョン
- 画像:
- 本体に固定.トグルスイッチ(左右のみ)x1,ボタンx2
ファミリーコンピュータ
- コントローラ画像:http://trendy.nikkeibp.co.jp/lc/shun/050913_game/index3.html
- 十字ボタン(当時任天堂が実用新案権取得)を搭載
- レバーでなくなった
- 卓上に置くスタイルから両手で持つスタイルへ
- 日本特有の「床に直接座る」文化が影響した,とも言われてるが詳しいところは不明
- 方向操作を行う手が左手に
- この理由について,開発者は「特に理由無い」と述べている
- 十字ボタン(当時任天堂が実用新案権取得)を搭載
セガの家庭用ゲーム機コントローラの変遷
- 参考: http://sega.jp/fb/segahard/
- SG-1000 (1983): http://sega.jp/fb/segahard/sg1000/controller.html
- ATARI 2600など従来のゲーム機と同様の,レバー+ボタンスタイル
- SEGA Mark III (1985): http://sega.jp/fb/segahard/mk3/controller.html
- レバーは残しつつも,ファミコンの影響を受け?両手持ちスタイルに
- Master System (1987): http://sega.jp/fb/segahard/master/controller.html
- レバーからボタンへ(十字ボタンの実用新案にひっかからないよう,パッドタイプ).
- SG-1000 (1983): http://sega.jp/fb/segahard/sg1000/controller.html
コントローラ・多ボタン化
多ボタン化からの変化
ボタンに頼らない入力
- ニンテンドーDS (2004, 任天堂) http://www.nintendo.co.jp/ds/
- タッチパネル(アナログ入力)
- 抵抗膜式(圧力を利用してタッチ位置を検出)
- タッチパネル(アナログ入力)
- Wiiリモコン (2006, 任天堂)http://www.nintendo.co.jp/wii/controllers/index.html
- 加速度センサ
- 赤外線センサ
- センサーバー:単なる赤外光LEDがついてるだけ(参考:"【続報:Wii分解】「センサーバー」にはセンサがなかった" (日経エレクトロニクス分解班) http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061127/124506/?rt=nocnt )
- センサーバーの赤外光をリモコンのセンサで受光し,赤外光の見え方でリモコンの向き・傾きを推測
- 耐久性テスト http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/wii_motion_plus/vol1/index3.html#id=movie001
- Kinect (2010, Microsoft)
- Xbox 360用の周辺機器.体の動きを入力としてゲーム操作が可能
- 赤外光で特定のドットパターンを発光
- カメラでドットパターンの歪みを計測して,人間の手足の動きを抽出
- 画像:http://www.xbox.com/ja-JP/xbox360/accessories/kinect/kinectforxbox360
- 参考映像: kinect - sensor IR projection (Robert Walter) http://www.youtube.com/watch?v=MlTf0yYQjSg
- PS Vita (2011, SCE) http://www.jp.playstation.com/psvita/hajimete/touch/howto.html
- タッチパネル:静電容量方式(近年のスマートフォンにも搭載)
- 電気を通すもの(指など)でタッチした箇所を検出
- 複数ポインティング検出が容易
- 加速度センサ
- 角速度センサ(ジャイロ)
- タッチパネル:静電容量方式(近年のスマートフォンにも搭載)
ハドソン ジョイスティック
- 参考 www.ne.jp/asahi/oroti/famicom/cont04.html
- 「直感的な操作」とは何なのか?という疑問を呈する例として使用
- 高橋名人(http://16shot.jp/)は,十字ボタンよりこちらの方が操作しやすかったらしい
- 参考映像: http://www.nicovideo.jp/watch/1296794825 (『スターフォース』 - 高橋名人世代, 電人☆ゲッチャ!)
鉄騎コントローラ
- 「直感的な操作」とは何なのか?という疑問を呈する例として使用
- 操作性の良さよりもリアリティを優先
- 明らかに習熟に時間がかかる
- だがこのコントローラで操作すること自体が楽しい
関連ツール
- 遅延体感テストプログラム http://www22.atpages.jp/thientest/
- 即応性の重要性を体感可能
その他
振動機能ビジネス
- 振動機能の公式発表は任天堂が先
- 本体発売(1996年)前から宣伝
- SCE:振動パック発売の2日前にDUAL SHOCK発売
- 市販品としてはSCEが先んじた
- アナログ入力もこの時に採用
- その後・・・振動特許訴訟
- Immersion社「振動機能内蔵コントローラ」のライセンス料支払いを求め提訴 (2002年)
- 任天堂 : 先行特許あり → 提訴されず
- セガ: 任天堂に特許料支払 → 影響なし
- Microsoft : ライセンス料支払 → 和解
- SONY : 争う姿勢 → 敗訴 (2006/03) → SIXAXIS(PS3用:振動機能無し) → 和解(2007/5) → DUAL SHOCK3(SIXAXIS + 振動機能) (2007/11)
- Immersion社「振動機能内蔵コントローラ」のライセンス料支払いを求め提訴 (2002年)
Kinectハック
- 高性能で安いモーションセンサとして,発売から数ヶ月で(非公式)ツール大量生産
- Microsoftも,Kinect単体のハッキングを容認
- 「解析防止の仕組みを意図的に実装しなかった」
- しばらくして公式の開発環境公開
- しまいにはWindows用のKinectも発売
学生からの質問
- '80年代以前の,テレビゲームの接続方法
- アンテナ線に割り込んでゲームの映像・音声信号を送り込む - RFスイッチ