がんばれゴエモン! からくり道中
メーカー:コナミ

言わずと知れたロングランシリーズ「がんばれゴエモン」の、記念すべき第1作目。「ゴエモン!」と、'!'マークがついているのはこの第1作のみである。その後の作品に比べるとやや時代考証がまともな本作だが、独特な操作性や腰砕けのギャグなどは、第1作から確立されている。ちなみに、当時初といわれた「2メガ」の大容量を搭載し、その後のディスクシステム衰退へ第1の布陣となったソフトでもある。

がんばれゴエモン!のここがすごい!

今までにない世界観

それまでも、和風を売りにしたゲームは少なくなかったが、このゲームは目を付ける題材が奇抜だった。普通は忍者だとか隠密だとかを主人公にしがちだが、コナミが選んだ主人公は義賊。しかも刀ではなくキセルと小判を武器にさせたところに、「義賊は殺しはやらねぇよ」という制作者の粋な心意気が感じられる。敵キャラも独特で、提灯を持った役人「ごようだ」何ともかわいらしい声を発しながら提灯を投げつける。かと思えば、義賊の味方であるはずの農民が稲を投げつけて攻撃してくる。当時から妙な敵キャラが世界観作りに寄与していた。
アイテムもこれまた独特。招き猫を取って小判が投げられる、というのは理にかなってるとして、おかめを取ってスピードアップという意味不明な取り合わせが何ともゴエモンチック。また印籠を持てば、何回か敵に当たってもダメージを受けないだけでなく、3D迷路(スーファミ版「1」まで存在していた)の地図も最初から見ることが出来るなど、さすが黄門様御推薦の万能アイテムぶりを発揮している。
最後にグラフィックとサウンドだが、当時はそれほど技術がこなれてなく、今見るとちゃちいものだったのだが、それがかえって、グラフィックがなんだか浮世絵のように見え、サウンドが三味線のように聞こえてくるという和風な雰囲気を醸し出したのだった。ゲームスタート時の「ピーッ!」というわけわからない効果音も、何故か不可欠なものであった。

隠れキャラ

ゴエモンを語る上で欠かせないのが、隠れキャラ。当時は隠れキャラブーム(?)で、どのソフトにも必ず1つは高得点の隠れキャラがあったものだ。しかしゴエモンはやはり違う。隠れキャラが並大抵の量ではない。各ステージに10個はあるのではないかという勢いである。さすが2メガ。適当な場所で飛んでいれば何かポコポコでてくるので、場所を覚えるという作業が無意味に思えてくる。
話は変わって、この「ゴエモン!」では、各ステージで3つの通行手形を集めなければ、関所を通れずクリアできない(この方式はスーファミ版になってからなくなった)。通行手形は店でも売っているのだが、ベラボーに高くてなかなか手がでない。しかしこのゲームでは親切に、ただで手形を手に入れられる場所を用意してくれている。しかしさすがゴエモン。その全てが隠し通路となっていて入り口は自分で見つけるしかない。ステージが進むごとにその作業が面倒くさくなるのだが、手形の値はどんどん高くなっていくので、もはや必須の作業と化してしまう。しかもステージは13×8=104。1ステージ5分でも5時間40分はかかってしまう。これがいやでゴエモンをやめた人多し。

第1作の反省をふまえて発売された「がんばれゴエモン2」は、慣れてくれば2時間でクリアできるようになっていて、ファンを十分に満足させるものになっていた。その後スーファミに移ってからは、よりアニメチックでコミカルな路線へ変貌していき、今やすっかり登場キャラや世界観が確立されてしまった。(エビス丸はファミコン版2から、その他のキャラの大方はスーファミ版1から登場した。ゴエモンインパクトはスーファミ版2から。)しかし考えてみると、最近のコナミはファミコンの財産をいつまでも引きずっているような作品しか出してない気がする(実況はスーファミからだが・・・。あと「ときめきメモリアル」もPCエンジンからだが、他はほとんどファミコン作品の続編)。それだけ初期に多くの良作が産み出されたとも言えるが、マンネリ感が拭えない今、コナミに当時のような創造意欲を復活させて欲しいものだと思う。

他の能書きも一応見てやる
おまえ何かうるさいだまれ