スーパーマリオブラザーズ2
メーカー:任天堂

今やまさに「世界のバーチャルアイドル」となったマリオが主人公の、大ヒットシリーズ「スーパーマリオブラザーズ」。第一作の売り上げ本数記録(400万本以上)は、最近絶好調のスクウェアですら一度も破ったことがない。(ちなみに現在第一位は「ポケットモンスター」) 「2」は86年、ディスクシステム第3弾としてディスクカードで発売されたソフト(2600円)で、内容は基本的に「1」と同じ、ステージのデータだけを入れ替えたといった感じである。

スーパーマリオブラザーズ2のここがすごい!

「1」の続編

基本的には「1」と同じである。キノコを取ったら大きくなり、花を取ったらファイアボールが打てるようになる。あとは敵に当たらないように、穴に落ちないように、キノコ王国を駆け抜けてピーチ姫を助け出す。単純かつ快適な操作性と、飽きさせない仕掛けの連続で、子どもだけならず大人までもハマってしまう魔力を持った、アクションゲームの最高峰といってもいい作品だ。「2」では新たに「毒キノコ」が登場し、取ると死んでしまう。が、明らかに色が毒キノコくさいので、気をつけていればまず取ってしまうことはない。ちょっとした引っかけ程度のものである。
ここで、説明書の初めにある一節を取り出そう。「初心者からスーパープレイヤーまで幅広く楽しめる・・・」
「2」をやったことのない人には、だからどうしたという文だが、やったことがある人ならわかるはずだ、こぉの大嘘つき!ということが。
そう、「2」は難しい。1−1でいきなりパタパタ(青)が飛んでくる位難しい。キノコ一つ取るのにも、いきなりテクニックを必要とする。パックンフラワーも1−1から元気に登場。つまりこのゲームはまさに「1」の続編、「1」をやったことあるという前提で難易度が設定されているのだ。その点任天堂も後で気づいたのか、後にスーパーファミコンで「スーパーマリオコレクション」を出したとき、マリオ2のタイトル画面では、「FOR SUPER PLAYERS」と銘打ってあった。
それを知らない当時のプレイヤーが、壁にぶつかるのが4ステージ。「1」の8−4で使うよりはるかに高度なテクニックを要求される。まず土管のそばによっても一向に引っ込まない赤パックンフラワー。ダッシュジャンプをした上で、なおかつパタパタを踏み台にしないと越えられない崖、ダッシュしないと届かない程度の位置に飛び石のように2つだけしか足場がない4−3ゴール直前(ここを太字にしただけで当時を懐かしむ人がどれほどいることか)。さらにあらゆるテクニックを駆使しても運が悪けりゃ即死状態の。この過酷な4つのステージを越える前にゲームオーバーになってしまったら、4−1からやり直しだ。おそらくここで半端なテクニックのプレイヤーの大半が挫折しただろう。選ばれた強運者だけが、ディスクの起動音を耳にする権利を得るのだ。(わかる人にはわかる)
これ以降も、風あり緑ジャンプ台あり逆ワープありの過酷なステージが待ち受けているのだが、書くと長くなってしまうし、4ワールドに比べりゃまだまし。というわけで、まだ「2」をプレイしたことのない人は、スーパーファミコンの「スーパーマリオコレクション」に収録されているので、そちらでどうぞ(こちらはエリアごとのセーブが可能、つまり4−4でゲームオーバーになってもまた4−4から始められ、かつ電源を切ってもまた続きが出来るので、いくぶんまし。ただし起動音は聞けない)。

隠しステージ

基本的に8ワールド、1ワールドに4エリアで、合計32のステージが用意されているのは「1」と同じだが、、「2」ではディスクの余裕を生かしてか、他に隠しステージも用意されている。一つは、「1」の時にあるのではないかと噂になった(実際はなかった)「9ワールド」、そして、スペシャルステージとして用意されたA、B、C、Dの4つのワールド。ちなみにD−3ステージ(ゴール直前の階段が砲台になっている)は、当時のCMで画面が流れていた(「へたくそっ」とマリオが叫び、所ジョージが「むっかぁー」と言ってコントローラを投げる、というやつ)。それはどうでもいいのだが、「2」のA、B、C、Dワールドへ行くためには、8回以上ピーチ姫を助けなければならない(当時の僕は1度たりとも助けられなかった)。それはまだましなのだが、9ワールドへ行く条件はもっと厳しい。1−1から8−4まで、ワープゾーンを使わず、かつコンティニューもしないでクリアすること。まず不可能。しかも9ワールドではマリオの残り人数が1人。しかも9−3以外全て海の中で、触れる即アウト。もっともおまけ的なステージで、難関を突破してきた者にとってはへっちゃらではある。

僕は最近まで、クリアは絶対無理だと思っていた。まして、9ワールドへ行くことなど出来ないと思っていた。しかしあのころの恨みを晴らしたかった僕は、ローソンでゲーム書き換えサービスが始まってすぐに、「マリオコレクション」を専用カセットに書き込んだ。目標は、「ディスク版「2」の条件をクリアして、9ワールドへ行く」(コレクション版では、何度コンティニューしても、ワープゾーンを使わず8−4をクリアすれば9ワールドへ行ける。しかしあえてそれに甘んじなかった)。やりましたよ僕は。人間やれば出来るもんだと初めて知った。無限増殖を2回行い(1−1と、6ワールドのどっかで)、それでも8−4で残り40人、さらに減って残り人数19人になって、やっとこさピーチ姫に巡り会えた。そのときの僕はまさにラージヒルの原田状態。だれでもいいから「パパやったよ」と言いたい心境だった。そして9ワールド。もちろん意識してノーミスでクリア。続いてAワールドが始まる(さすがに8回クリアする気は起こらなかった)。ここもワープゾーンを一切使わず全ステージをクリア。なんとD−4はミスは2回だけ。ニセクッパを越えてからは、駆け抜けるように本物クッパも突破。そして再びピーチ姫に巡り会えた僕は、青春の忘れ物を取り戻したような感動に包まれていた(アホ)。

ちなみに、コレクションにある「マリオUSA」は、元々ディスク用ソフト「夢工場ドキドキパニック」として日本で売り出されたものを、「マリオ2」と名を変えてアメリカに輸出し、後にそれを日本に逆輸入したものである。つまりアメリカ人は日本版「2」をプレイしたことがない、かどうかは知らない。しかしここにも、「マリオ2は難しすぎた」という任天堂の反省がにじみ出ている。

他の能書きも一応見てやる
おまえ何かうるさいだまれ