パチコン
メーカー・TOEMILAND(東芝EMI)

東芝EMI(というよりT&ESOFTと言った方がわかりやすいかな)の、ファミコン参入第一弾。タイトルからわかるようにこれはパチンコゲームのソフトなのだが、そのつまらなさといったら今までこの世に登場したパチンコソフトの中でも最高峰と思われる。各地に点在する「クソゲー愛好会」のホームページでも全く取り上げられた形跡がない、まさに「クソゲー」とさえ認められない「ダメゲー」の見本ともいうべきソフトである。

パチコンのここがすごい!

徹底した(しすぎた)シンプルさ

18歳未満大歓迎というダサダサなキャッチフレーズで売り出されたこのソフトは、要するにコンセプトを「パチンコをファミコンでする」ことだけに徹底的に絞り込んだゲームなのだ。画面は、タイトル画面以外は全てパチンコ台だけ。そのくせしっかり各台には釘の打ち方の画面が別に用意されている。しかし子どもに釘の打ち方の意味などわかるはずもない。しかも台は100台以上。いちいち見る気も起きない。その上100台もあるのに関わらず、種類はたった2つ。台の色と釘の打ち方が違うだけの100台を前に、征服欲のかけらも起こらない。
ちなみに目的は2つのうちから選べて、「玉を3000個以上貯める」か・・・あとなんだったっけな。また調べときます。なにせそれをクリアすればなぜかボーナスステージに突入(もちろんパチンコ)。一定時間玉稼ぎにいそしんだら、ゲーム終了(えっ?)タイトルに戻る(なにっ!?) 。もちろん稼いだ玉は残らない(はぁ!?)。つまり玉を稼ぐのではなく、パチンコをするのが目的なのだ。ここまで子ども相手にパチンコのゲーム性を追求したソフトはそうそうない。
極めつけはBGM。全くなし。自分の台のパチンコ玉が落ちていく音がシャラシャラと流れているだけ。パチンコに集中しろということだろう。(それで済ましていいのか)

アカボー君

このソフト、音楽もないくせに、いらぬことには凝っている。玉が釘に引っかかる。そんなのばっかりリアルにするな。と思ったら、玉の打ち出しが中断され、突然ポケットから登場するのがアカボー君。なんと引っかかった玉をポケットに持って帰ってくれる頼もしいヤツなのだ。非現実的だ。どうせなら台をガンガン叩くようにすればいいものを。しかも取り除いてくれることを期待しても、アカボー君は全然動かない。プレイヤーが操作するのだ。アカボー君に玉を持たせ、出てきたポケットに帰ると玉50個追加。そして何事もなかったかのようにゲームは再開されるのだった。一体アカボー君の存在意義は何なんだ。この時点で、ゲーム作者の意図が全く読めなくなる。さすがダメゲー。

というように、ほめるところを探すのにも苦労するパチコン。実は数年後に中古ショップの買い取り表を見ると、なんと買い取り価格1800円。おお、プレミアついてるよ。ゲームの面白さからしてこの価格は破格の値段だ(今はどうか知らないが)。それに感動した僕は、今でもこのソフトを所有している。もっとも本体に差し込むことはないが。
しかしタイトルロゴをよくよく見てみると、PACHIKONと書いてある。第2弾を出すつもりだったのか。開発者の自信恐るべし。

他の能書きも一応見てやる
おまえ何かうるさいだまれ