SUPER PINBALL
メーカー:ココナッツ・ジャパン

タイトルからわかるように、これは紛れもなくピンボールゲーム。コンシューマー機の最初のピンボールソフトは、任天堂の「ピンボール」だと思う('83年もしくは'84年)が、ピンボールとテレビゲームは相性がいいのか、いまだにぽつぽつといろんな機種で新作が発表されている。どのソフトでも、ただのピンボールではないテレビゲームならではの要素が加わっているのだが、それらを全部並べても、この「スーパーピンボール」のような怪しげな要素はくわえられていないだろう。

スーパーピンボールのここがすごい!

普通のピンボールゲーム

「スーパーピンボール」は、一見普通のピンボールである。メインステージが縦に3画面分あり、ステージの一番下にボールが落ちてしまうとミスとなる。またメインステージの一番上にはワープゾーンが用意されていて、ルーレットにより4つのサブステージのいずれかに飛ぶことが出来る(この辺が、テレビゲームのピンボールでしか出来ない芸当である)。サブステージではそれぞれ決められた目的があり、それをクリアすると目的の「アイテム」を手に入れることが出来、得点が加算される。しかしそれは最終目的ではなく、目的は純粋に得点を稼ぐこと。最大4人までプレイでき(もちろん順番に、だが)、得点を競い合えるようにしている。ちなみに少々重力のかかりかたを疑ってしまうボールの動きも、テレビゲームのピンボールならではである。
何だ普通のピンボールじゃないかと思うかもしれないが、それならわざわざ紹介したりしない。先の文で、太字で「アイテム」と表示したが、そのアイテムが問題なのだ。初めてゲームを始めたとき、正直「ソフト間違えたか!?」とさえ感じたほどだ。
まずタイトル画面でプレイヤーの人数を決める。すると次に画面には、各プレイヤーのテンパイした麻雀牌と当たり牌が表示される(!?)おいおいピンボールじゃなかったのかと言う間もなくゲームはスタートする。そうつまりこのゲームは自分の当たり牌を見つけだすという不可思議な目的を持ったピンボールなのだ。間違って他の人の当たり牌を手に入れてしまえば、自分でなく相手に得点が入ってしまう。もっとも自分の当たり牌は最初に画面に表示してくれるので、麻雀の知識は全く必要ないわけである。がしかし、何で目的アイテムが麻雀牌なのかは永久に謎のままである。

謎の難易度

とにかく麻雀牌は無視してゲームを始めてみる。別にこれと言っていらいらするような要素は見られない。同じ画面でちょろちょろしててもある程度点が入るし、一気に飽きが来るような感じではない。しかしそれはあの麻雀牌を気にしなければ、である。麻雀牌はサブステージにのみ存在するので、本格的に手に入れようとすると、まずそこへワープするために一番上の画面まで行かなければならない。そのためには、真ん中の画面でスリーインスポットに3回入るか、一番下の画面でスロットを回し、車の絵を3つ揃えなければならない。しかしそれが難しい。スリーインスポットは左上の少し上にへこんだ所にあるので、玉を打ったときにジャストの方向に飛ばないと、なかなか入らない。悪戦苦闘するうちに下へ落ちる。じゃあスロットで車を揃えようとするが、まずスロットを回す通路にはいるのが難しく、回っても「ストップ」に玉を当てなければ止まらず、しかも結果はランダム。なかなか揃わずやっきになってるうちに下へ落ちてミス。何とか一番上に行けても、またそこでルーレットを回さなければならず、ひいひい言ってるうちにサブステージへ行く前に下へ落ちてしまう。この時点でサブステージへ行く気が失せる人々多数。
しかもサブステージに行けたとしても、そこには過酷な試練が待ち受けている。4つのサブステージでの目的は、それぞれ「ロボットに左右から8発ずつビームを当てる」「32個のブロックを全て壊す」「UFOを指定数(10個か20個)破壊する」「全ての惑星を3回出現させる」。サブステージにたどり着いたものはみなこの条件に挑戦し、1分後に誰もが「出来るかアホ」という結論に達する。ずいぶん妙な動きを繰り返すボールに踊らされ、勝手に端の方から下へ落ちてしまい、落ちた先はメインステージの一番下。はっきり言って上の条件を満たすためには、同じ画面で10分以上耐えていなければとうてい無理だ(特にロボット)。人間業では到底出来ない。しかも耐えに耐えて手に入れたものが相手の当たり牌だった日には、瞬間リセットを押したい心境に陥ってしまう。そんなわけで、このゲームをやる人は皆麻雀牌の存在など忘れてしまうのだ。それさえなければ普通のピンボールだもん。

ちなみに当たり牌を手に入れると、砂漠で廃車を背にした水着のお姉さんが登場する(ゲームオーバーの時にも、服を着て登場する)。これでプレイヤーをやる気にさせたいつもりなのだろうが、所詮ファミコンのグラフィック、しかも絵が下手とくれば、誰もが2度とみたいとは思わない。しかもそのときにお姉さんがかけるねぎらいの言葉。
「たまを おとさないでね」
しばいたろかおまえ。

他の能書きも一応見てやる
おまえ何かうるさいだまれ