火の鳥鳳凰編 我王の冒険
メーカー:コナミ

手塚治虫晩年の大作シリーズ「火の鳥」。当時「鳳凰編」「大和編」が映画化(だったっけ?)されて話題になっており、このソフトは鳳凰編の主人公・我王を題材にしたアクションゲームである。その内容は、原作のものとは、「主人公は我王」という事以外は全く関係ないので、前知識は不要。なお手塚作品のゲーム化は、他に「鉄腕アトム」(これも発売元はコナミ)がある。

我王の冒険のここがすごい!

原作完全無視のゲームシステム

ゲームの目的は、簡単にいえば「我王作の彫刻が、何者かによって16枚のパネルに分けられ隠されたので、それらを見つけだして彫刻を復元する」というもの(もちろんこんな話は原作にはない)。しかしこのパネルは、なぜか3つの時代に飛ばされており、それぞれ大和に8枚、太古に3枚、来世(これは時代なのか?)に5枚隠されている。この3つの時代は、所々にかくされたワープゾーンで相互につながっており、我王は時空を旅しながら目的を達成するのである。
ゲーム自体、よくできたアクションゲームである。さすが古参メーカーのコナミだけあって、ハマリ度は大きい。しかし冷静に見ると、原作の面影など微塵もないことに気がつく。
何せ我王の武器はのみ。彫刻道具を何のためらいもなくスパスパと敵に投げつけるのだ。しかも敵に当たればなぜか敵は鬼瓦に変わる。我王はそれを貯め込み、崖を越すときなどの足場として利用するのだ。恐るべき破戒僧我王

やはり原作完全無視

我王の敵は様々だ。大和の時代には、原作を意識して役人が敵として登場し、ほかに山賊やフクロウなどが登場。しかし太古の時代になると、チラノサウルスや始祖鳥がぴょんぴょん跳ねながら我王に襲いかかる。しかもご丁寧に氷河ステージまで用意してあり、何でそこで恐竜が元気に跳ねてるのか不思議でならない。チラノサウルスは炎吐いてるし。来世ステージではさらにすごく、なんだかわかんないものが横から飛んでくる。よく見るとモアイだったりする。来世とモアイになんの関係があるというのだ。
各ステージの最後にはボスが待ち構えており(ボスがいないステージもある)、それを倒すと彫刻のかけらが一枚入手できる。そのボスも個性派揃いで、巨大鬼瓦に始まり、雷神がいたかと思えば、なんか壁にへばりついたものが変な玉を吐いて攻撃してくる。来世ではスーパーコンピュータが我王を襲い、エイリアンのような生命体(名前は「ビェブル」)が卵を吐いて攻撃してくる。ここはもはや地球じゃない。それにしても何でこんな奴らが彫刻を持っているんだろう。しかもこのゲームには大ボスといったものは存在せず、彫刻のかけらを全て集めた時点でゲームは終了である。一体この壁へばりつき野郎やエイリアンに彫刻を預けた黒幕は一体誰なんだ!?しかしわからなくてもゲーム進行に何ら支障はきたさない。

僕はこのゲームをずいぶんとやりこんで、最終的には、ゲーム開始から30分で彫刻を完成できるまでになった。完成後にやっと登場する「火の鳥」の姿に感動して、それを見たいがために何度もやり込んだものだ。「グーニーズ」といい「月風魔伝」といい「ゴエモン」といい、このころのコナミのアクションゲームには僕は相当お世話になった。

他の能書きも一応見てやる
おまえ何かうるさいだまれ

「火の鳥鳳凰編」ワープゾーンに関するグラフを作りました。
役立つかどうかわかりませんがどうぞ。